TOCのおすすめ書籍
TOCについて知識を深めてビジネスや生活に役立てたいものです。
しかし、関連書籍も数多く出版されているため、どこから学べばいいのか悩みますね。
そこで本記事では、弊社コンサルタントメンバーがおすすめする書籍を紹介していきます。

目次
おすすめ書籍 『ザ・ゴール』 ― 企業の究極の目的とは何か ―
書籍タイトル:『ザ・ゴール』 ― 企業の究極の目的とは何か ―
著書:エリヤフ・ゴールドラット
(訳者) 三本木亮,稲垣公夫
発売年月日:2001/05/18
『ザ・ゴール』は、TOCやフローに興味をお持ちの方に、まず初めに読んでいただきたい1冊です。
また、TOCをご存じの方も、改めて読むと新たな気づきが何度もある名著です。 全世界で1000万人以上が読み、日本だけでもシリーズ累計125万部は発行され、いまだに売れ続けています。
「ザ・ゴール」シリーズの原点であり、必読本となっているMBAコースも多くあります。
アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏は、ピーター・ドラッカーの『経営者の条件』、クレイトン・クリステンセンの『イノベーションへの解』とともに、『ザ・ゴール』を自社の将来を描くためのフレームワークとして活用していると語りました。
原著の発売は1984年ですが、日本語版の出版は17年間に渡り許されなかった、といういわく付きの本でもあります。(2001年出版)
その理由は何か?―
「『ザ・ゴール』が日本語で出版されると、世界経済が破綻してしまうので許可しないのだ」、
「日本人は、部分最適の改善にかけては世界で超一級だ。その日本人に『ザ・ゴール』に書いたような全体最適化の手法を教えてしまったら、貿易摩擦が再燃して世界経済が大混乱に陥る」
と著者のゴールドラット博士は真顔で答えたと、解説に書かれています。
TOCの本をまずは1冊読みたいと言われれば、入門書でもあり原点でもあるこの『ザ・ゴール』を自信をもってお薦めします。


続いては『ザ・ゴール』の続編です。1冊目とは別角度からTOCの手法などを交えてのストーリーとなっており、こちらも人気があります。
おすすめ書籍 『ザ・ゴール 2 』 ― 思考プロセス
著書:エリヤフ・ゴールドラット
訳者:三本木 亮
発売年月日:2002/2/23
前作『ザ・ゴール』の舞台が工場だったので、TOCは工場のボトルネックに着目した生産管理の手法というイメージをお持ちの方。よって、モノ余りの今の時代にTOCは古いのではとお考えの方。
そのような方にこそお薦めしたい一冊が『ザ・ゴール2』です。
『ザ・ゴール2』では、市場がボトルネックの場合、つまり、生産キャパシティに余剰がある場合のTOCの考え方が描かれています。
問題解決の論理ツール「思考プロセス」を用いてマーケティングや営業条件を見直すことにより、「運ではなく」論理的に、多くの儲けを出せることが描かれています。
原題の“It‘s Not Luck”は訳すと「運ではない」。
TOCの思考プロセスは、産業や部門を問わないだけでなく、教育や医療、行政、福祉などあらゆる領域の問題解決に使える手法です。
その意味では、TOCのベースといっても過言ではありません。


続いては『チェンジ・ザ・ルール』です。TOC理論が工場だけではなく、システム導入の現場などでどのように活躍するかというお話です。
おすすめ書籍 『チェンジ・ザ・ルール 』 ーなぜ、出せるはずの利益が出ないのか
ITなどの新しいテクノロジーへの投資は企業経営にとって必要不可欠なものですが、巨額の投資をしたからといって、それに見合う儲けが必ず出るわけではありません。むしろ、投資回収できず、ベンダーだけ儲けさせている企業の方が多いのではないでしょうか。
原題の “Necessary but not Sufficient” は訳すと「必要だが十分ではない」。ITなどの新しいテクノロジーは企業経営のために必要だが、それだけでは十分ではないという意味です。
ではどうすれば、十分になるのでしょう?
それは、新しいテクノロジーの前に使われてきた従来のテクノロジーの限界に対応していた古いルールを新しいものに変えることです。(邦題の『チェンジ・ザ・ルール』は、十分ではないのは何かの答えのほうなのです。原題と邦題の違いは、マニアックかもしれませんが面白い点ですね。)
本のストーリーは、当時の新しいテクノロジーだったERPの苛烈な開発競争を描いていますが、その本質は普遍的です。ERPを今の時代の新しいテクノロジーに置き換えてみると、違和感なくお読みいただけるかもしれません。
DX(デジタルトランスフォーメーション)やERP等のITシステムなど、ハードやソフトを問わず新しいテクノロジーの導入を検討されている企業の経営者や推進担当者の方、すでに導入しているが会社の儲けに結び付いていないと感じている方々に、ぜひご一読いただきたい一冊です。


次のおすすめ書籍はこちら、プロジェクトマネジメント関連書籍として評価が高い『クリティカルチェーン』のご紹介です。
おすすめ書籍 『クリティカルチェーン』 ―なぜ、プロジェクトは予定どおりに進まないのか?
書籍タイトル:『クリティカルチェーン』 ―なぜ、プロジェクトは予定どおりに進まないのか?
著書:エリヤフ・ゴールドラット
訳者:三本木 亮 <
発売年月日:2003/10/31
シリーズ4作目の舞台は、プロジェクト。
私にプロジェクトは関係ないなと思われた方は、ちょっとお待ちください。
実は世の中を見渡すと、プロジェクトと言われていなくても、実際にはプロジェクトの形をしている業務がかなりあります。
例えば、新製品や新サービスの開発、ソフトウェア開発、個別受注生産(ETO)やプラントエンジニアリングなどの設計、土木工事や建築、航空機や船などの整備、発電所やプラントの保守メンテナンス業務などです。
プロジェクトにも、『ザ・ゴール』で描かれた工場のように、「(タスクの)つながり」と「ばらつき(不確実性)」があり、フロー(流れ)があります。
ただ、異なる点もあります。
それは、多くの人がリソースとして関わる点、プロジェクト開始から終了までの間(リードタイム)に占める実作業時間(タッチタイム)の割合が多いという点、不確実性の度合いが比較的大きいという点などです。
そのため、プロジェクト型の業務を行っている方が『ザ・ゴール』を読んだ後に、TOCは概念としては使えそうで可能性を感じるけど、実務にどう適用すればよいのか分からないという感想を持たれることも多いようです。そのような方に、ぜひお読みいただきたい一冊です。
ただし、お読みになる方のプロジェクトの環境によっては、気を付けていただきたい点が1つあります。
『クリティカルチェーン』では基本的には1つのプロジェクト(シングルプロジェクト)の問題点や、それを克服するための方法が書かれています。一方、現実の世界では、複数のプロジェクト間でリソースが共通利用されているマルチプロジェクト環境が多く存在します。
原著は1997年に出版されましたが、TOC界では2000年代に入ってから、特にマルチプロジェクトの領域は活発に知識体系のアップデートがされてきました。
マルチプロジェクト環境での課題をお持ちの方は、当社にお問い合わせください。
自社のプロジェクトに活かせる部分がきっとあるはずです。


先に紹介しました『ザ・ゴール』のコミック版です。
おすすめ書籍 『ザ・ゴール コミック版』
エリヤフ・ゴールドラット (著), ジェフ・コックス (著), 岸良裕司 (監修), 蒼田 山 (イラスト), 青木健生 (その他)
発売年月日:2014/12/5
500ページ超の分厚い活字版『ザ・ゴール』。
読み始めると、小説仕立ての面白いストーリー展開にぐいぐい引き込まれ、1~2日で読み終えてしまう方も多いのですが、分厚い見た目で読むことを躊躇された方もいらっしゃるかもしれません。
活字版に比べると、内容はやや簡略化されていますが、それでも『ザ・ゴール』のエッセンスに変わりはありません。

おすすめ書籍 『ザ・ゴール2 コミック版 』
『ザ・ゴール2』にも『ザ・ゴール』と同様にコミック版が出ています。
まずはサクッと読んでみたいという方はこちらをどうぞ。

皆様のTOCやビジネス書籍選びのヒントになれば幸いです。
プログレッシブ・フロー・ジャパン コンタクト
私たちは企業やサプライチェーンのスループットを左右する「制約」に着目。本来のポテンシャルを引き出し、業績やパフォーマンスの飛躍的な向上をお客様とともに実現します。